改訂した66項目を差し替えて全140項目を掲載した『脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕』【印刷版】を発行しました。


2023年8月30日更新

『脳卒中治療ガイドライン』は最新のエビデンスを反映させるなどの目的で、例年、全面改訂の約2年後に追補版を発売してきましたが、近年の本領域の進歩は長足であり、今回は全140項目中66項目を改訂しました。エビデンスレベルの高い新しいエビデンスを加えたほか、新しいエビデンスはないものの推奨度が現実と乖離しているものなども見直したため、今回は「追補」ではなく「改訂」として発売しました。

主な改訂点

抗血栓薬や血栓溶解薬などの記載変更について
抗血栓薬については、その一種であるDOAC(直接作用型経口抗凝固薬)の高齢者適応のほか、DOACの中和剤に関する記載も増やしました。また、血栓溶解薬は使用開始時期によって効果が左右されますが、起床時発見もしくは発症時刻不明の虚血性脳血管障害患者に対するエビデンスなどを加えました。さらに、くも膜下出血の治療後に生じる可能性がある遅発性脳血管攣縮については、新たに登場した治療選択肢にも触れるなどの変更を行いました。

危険因子としての糖尿病・心疾患・慢性腎臓病(CKD)の管理について
主に糖尿病治療で使われるGLP-1やSGLT-2などの薬剤には、近年、新たなエビデンスが得られていることから、推奨度を含めて記載を見直しました。

文献検索

前版以降の2020年1月から2021年12月までに発表された文献を新たに対象として検索しました。この範囲外の文献でも、特に重要な内容と認めたものは、委員会として妥当性を検討した上でハンドサーチによる文献の追加を行いました。

エビデンスレベルと推奨度

Oxford Center for Evidence-Based Medicine 2011のLevels of Evidenceを用いて引用文献のエビデンスレベル設定を行い、すべての引用文献にエビデンスレベル(1~5)を示しました。推奨文には推奨度(ABCDE)と、エビデンス総体レベル(高中低)を示しました。推奨度は、エビデンス総体レベルの強さ、「益」と「害」のバランス、患者の価値観などの影響、コストや医療資源の問題を考慮して、総合的に決定しました。

目次

Ⅰ 脳卒中一般
Ⅱ 脳梗塞・TIA
Ⅲ 脳出血
Ⅳ くも膜下出血
Ⅴ 無症候性脳血管障害
Ⅵ その他の脳血管障害
Ⅶ 亜急性期以後のリハビリテーション診療
■ 付録

※注文・予約は、<協和企画 医書通販サイト>から受け付けております。


● 発行日 2023年8月30日

● 編集 一般社団法人日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会

● 発行 株式会社協和企画

● ISBN 978-4-87794-233-5

● 定価 8,800円(本体8,000円+税10%)

● 体裁 A4判、332ページ